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複数のお仕事仲間からリコメンドがあり、読了。
特にいわゆる「媒体」にいらっしゃる方は、すごくすごくリアルで身につまされる一冊だったようです。
読み終わって、まずタイトルはミスリードですね。わかりやすく言うと「新聞・ジャーナリズムの苦悩」とでもいいましょうか、そんな内容です。
「新聞」という全国に張り巡らされた販売店網から記者・経営者、はたまた関連会社に至るまでの巨大ビジネスがのたうち回りながら病み衰えていく様を重厚な取材を重ねて読ませる、濃密なノンフィクション。それはすべてインターネットという破壊的な革命によりもたらされたものですが、その象徴でもあるヤフーも登場し、詳しく描かれています。
「新聞」という巨大ビジネスに支えられ、高給と社会的ステータスを以て維持されてきた「新聞記者」というエリートは、たしかに、「ジャーナリズム」というものを育て上げ、維持してきたのでしょう。「新聞」が解体されていく中で、この「ジャーナリズム」は維持できるのか。まさに「新聞側」からの問いかけが本の中にも溢れています。はたと気づきますが、この本のような、歴史を様々な側面から描き、面や線として編み直してくれる作業も、高尚なジャーナリズムがあってこそかもしれません。これが、ネットメディアにできるのかね。という声が聞こえてきそう。
時々お仕事を一緒にする「ライター」と称する人で、びっくりするくらいの低レベルな人に出会うこともあります。(もちろんプロフェッショナルな、尊敬に値する方も多くいらっしゃいますよ)インターネットによるメディアの激変の弊害の一つとして、こういったジャーナリズムの低レベル化は危惧されるのではないか。社会正義を置き去りにして、金になる情報だけが垂れ流されるのではないか。そのあたりの議論もまた、聞いてみたいところです。